緑に癒される季節へ 〜梅雨と苔と寛容の色〜

まもなく関東にも梅雨の季節が訪れます。じめじめとした空気に、つい気分も沈みがちになるこの時期。でも、ふと足元に目をやると、苔がしっとりとした緑をまとい、いきいきとその存在感を放っています。

階段の隅に広がる苔の姿に、どこか心がほっとする瞬間があります。鮮やかなモスグリーンは、まるで心の湿気をやさしく吸い取るかのように、静かに私たちを包み込んでくれるのです。

緑は、光の三原色のひとつ。そして、人間社会においても、象徴的な色といえるかもしれません。世界では、アメリカや韓国など、赤と青の二大政党が対立を深めるように、私たちの社会も何かと二元論に分断されがちです。

そんな中で、「緑」という存在は、対立する色の間に立ち、両者をやわらかくつなぐ役割を果たしてくれるように思います。緑が加わることで、赤と青は統合され、やがて白という調和の色へと至る——それはまるで、寛容と共存の象徴のようです。

苔むす日本の風景には、そんな「緑」の力が静かに息づいています。これからの時代、日本が、分断された世界を緑でつなぐ橋渡し役になれるとしたら——そんな希望を、この苔の美しさに重ねてみたくなるのです。